慢性頭痛の基礎③ セロトニン神経系

痛みと呼吸の専門家 山梨県 甲斐市のウエラボ頭痛整体院 木村友浩です 

当院では、頭痛をはじめ、めまいや自律神経の乱れからくる不調、特に起立性調節障害やうつなど、お薬でなかなかよくならない慢性不調でお悩みの方をサポートしています。

当院実施している重要な施術やセルフケアとして呼吸法がありますが、その目的はセロトニン活性を上げて、不調を改善することです。

特に、片頭痛患者でお悩みの方はセロトニン神経機能が低下していることが根底にあります

痛みを取ることだけでなく、生活習慣、運動・呼吸の改善を継続することで頭痛体質を改善すること最終目標にしています。

今日はその中核となるセロトニンについてのお話です

少し長くなりますが、頭痛治療に前提として重要な部分ですので、お付き合いください。

今日も田草川先生の過去ブログから重要な部分を拾って、適宜加筆、修正してお届けします。先生の全文は以下はご参照ください 

https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12186784179.html?frm=theme

 

 

<慢性頭痛の基礎3 セロトニン神経系>

「健康的な生活を送る」ためには、”ミトコンドリア”が重要な”鍵”となり、生命の根源ともなるべき役割を果たしています。

ミトコンドリアは、私達の体を構成する細胞の中にあり、食事から摂取した栄養素から生きる為に必要なエネルギーを作り出しています。

エネルギーを常時たくさん使う細胞であるほど、ミトコンドリアの数が多く存在し、ミトコンドリアは、私たちの”活力源”ともいえるものなのです。

 

【セロトニン神経】 

私達が日中活動している際に、常時活動している神経系がセロトニン神経系です。

このようにエネルギーを常時たくさん使うセロトニン神経系は、ミトコンドリアの働きが悪くなりますと、同時にセロトニン神経系の働きまで悪くなってきます。

「セロトニン神経系」は、脳の中心にある「脳幹」、さらに中央に位置する「縫線核」という部分にあります。

大脳皮質や大脳辺縁系、視床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あらゆる脳神経系と結合し、脳の広い範囲に影響を与えている神経系です。

セロトニン神経系は、

  • 大脳皮質を覚醒させ、意識のレベルを調節する
  • 自律神経を調節する、筋肉へ働きかける
  • 痛みの感覚を抑制する
  • 心のバランスを保つ

など、「健康的な生活」を送るためには欠かせない働きをしています。

脳内で影響を与える物質として、セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アセチルコリンなどがよく知られています。

 

【ドーパミン】

ドーパミンは、体の動きを調整する神経の機能と、心の領域として「舞い上がるような心地よさ」を感じる「快の情動回路」といわれる神経の機能とがあります。このドーパミン神経を活性化させるのは「報酬」です。

「試験で良い点数を取る」「試合で勝つ」「高い給料を取る」などの目標を持つと、ドーパミン神経は興奮し、私たちに一種の「渇望したストレス状態」を作り出します

ドーパミン神経が活性化すると、私たちはちょっとしたストレスであっても努力するようになります。

そして目標が達成されると「舞い上がるような心地よさ」を感じることができます。

ドーパミン神経は、意欲の神経なのです。

目標が達成されなかった場合一番問題になるのは、ドーパミン神経が暴走し始めることです。

実際に、世の中は上手くいかないことが多いわけですが、上手くいかないことが続くと「何が何でも達成するぞ!」と異常行動を起こし始めるのです。

いわゆる依存症で、周囲に迷惑をかけてしまう。これはドーパミン神経の悪い面です。

ドーパミン神経には興奮した際、良い面と悪い面があるわけですが、このドーパミン神経にコントロールをかけることができる神経回路がセロトニン神経である、ということです。

 

【ノルアドレナリン】

ノルアドレナリンはストレスに関係する神経になります。

不快なストレッサーが、外部から人間の内部に加わった場合、最初に反応するのがノルアドレナリン神経です。

危機を察知すると、即座に血圧を上げたり、心の面では不安を感じさせたりするわけです。

ノルアドレナリン神経が、暴走すると、大したことではないにもかかわらず、「大変だよ!」と興奮してしまいます。いわゆる「パニック障害」です。

 

【セロトニン神経による調整】

セロトニン神経はドーパミン神経、ノルアドレナリン神経を抑制コントロールすることができます。

ドーパミン神経の「快」で舞い上がることと、ノルアドレナリン神経の「不快」で落ち込むこととの両方を抑えるという点で興奮と不安のバランスを図り、心の状態を中庸に保つはたらきをしています

セロトニン神経は、この2つの神経に対して抑制作用を及ぼし、クールな覚醒、つまり平常心を保つはたらきをします。

そのためには、セロトニン神経を活性化させることは重要だと言えます。

セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンの3つは神経伝達物質としての働きをしていますが、脳内セロトニンが低下してバランスがとれなくなると、「抑うつ・パニック症状」、「不眠」につながります。

 

片頭痛はミトコンドリアの機能低下によって起きる頭痛】

片頭痛患者では、セロトニン神経系の機能低下が必ずおきてきます。

セロトニン神経系”の機能低下には

  • 生活習慣の不規則・ストレス・生理周期や
  • 小麦、乳・乳製品、肉食に偏った食事
  • 運動不足
  • 生活習慣の不規則・ストレス

不規則な生活をすれば、体内時計が乱れ、「ミトコンドリア」・「セロトニン神経系」の機能にも影響を及ぼすことになります。

その結果、「セロトニン神経機能が低下」し、脳内セロトニンが低下します

 

【不眠は脳内セロトニンを低下させる】

睡眠は日中活動している間に傷ついたミトコンドリアを修復させます。

不眠が持続すれば、修復が不十分となり、ミトコンドリアの機能は徐々に悪化し、これに伴ってセロトニン神経系の機能が低下します

その結果、脳内セロトニンは低下することになり、脳内セロトニンの低下により睡眠障害が進むという悪循環を繰り返すことになります。

睡眠障害が進むとミトコンドリアの修復ができず、ミトコンドリアの機能が低下して、その結果セロトニン神経系の機能低下することになります。

睡眠以外の生活習慣の問題点が追加されることによって脳内セロトニンはさらに低下することになります。

片頭痛患者さんの根底には、「脳内セロトニンの低下状態」が必ず存在し、このため、「抑うつ・パニック症状」、「不眠」を訴える方もみられることになります。

 

【片頭痛発作と症状】
片頭痛発作時には、前兆のかなり前に予兆と呼ばれる症状があります。

例えば、あくびが出るとか,異常にお腹がすくとか,イライラするとか,眠くなるなどの症状です

このような症状があってから前兆が起こり,さらに激しい頭痛発作が起こります。

そして、片頭痛発作が鎮まった後も気分の変調があったり,尿量が増加したりするなど全身の症状を伴うことがあります。

セロトニンは、脳内の神経伝達物質に作用して「精神を安定させる」役割を持っています

例えば、「満腹感」を感じさせ、食欲を抑制する作用も持っていますので、脳内セロトニンが不足すると「精神的不安定」になり、「食べたい!」という欲求がよく連動して現れます。

強いストレスを感じたりイライラする時に甘いものや肉類などを食べたくなりますが、その理由は、

甘いものや肉類を食べると一時的にセロトニン分泌が増え、一時的でも気持ちが落ち着くので、「食べたい!」欲求が強くなると言われています。

 

女性は男性に比べて元々セロトニンの脳内合成が少ない

女性は男性に比べて元々セロトニンの脳内合成が少ないので、ストレスを感じるような状況におかれると、脳内セロトニンが枯渇しやすくなります。

その結果、情緒不安定になったり甘いものを中心とした過食へと走る行動が男性よりも強く出る傾向があります

 

【片頭痛とあくび】

セロトニンを分泌する縫線核は、呼吸中枢にセロトニンを送って呼吸量を調整しています。

縫線核は、血液中の酸素量などをチェックし、体内の酸素量が不足したときにはセロトニンの分泌量を増やし、呼吸中枢を刺激します。

セロトニンが不足すると中枢神経を充分に刺激できなくなり、その結果、酸素が不足した状態に陥ります。酸素不足を補うための反応として生あくびが出るのだと考えられています。

【ストレスによって脳内セロトニンの低下

ストレスが加わることによって「脳内セロトニンの低下」が起きると、予兆が引き起こされ、片頭痛発作を経て、発作が治まった後もしばらくはセロトニン低下状態が持続します。症状として気分の変調を残すことになります。

 

【アロディニア】

アロディニア症(異痛症)とは、痛みを感じやすい症状です。「脳内セロトニンが減少している」

ため”痛みを抑制することが出来ないために生じます。

日本では片頭痛の患者さんの60~80%ぐらいが、アロディニアを伴うといわれていますが、発症5年以上たたないと、アロディニアは出てこないことが多いようです。

アロディニアがあるということは「脳内セロトニン低下」を意味します。

 

【トリプタン製剤】
片頭痛発作時には、セロトニンが減少あるいは機能が低下していりため、脳内セロトニン様作用するトリプタン製剤が開発され、頭痛外来などで処方されます。

トリプタン製剤を投与することによって、低下状態にあるセロトニンをバックアップます。

たたし、発作時にトリプタン製剤を服用しても、一時的にセロトニンを補填しているに過ぎません。

 

特に長年の片頭痛患者さんは、脳が過敏な状態にあると言われており、「抑うつ・パニック症状」、「不眠」が起きやすく、発作時のみ服用するトリプタン製剤だけでこれを是正・改善はできません。

 

【脳内セロトニンの低下は改善できるのか】

片頭痛発作および随伴症状を改善するためには、「脳内セロトニン」を増やす必要があります。

そのためには、根気強い「セロトニン生活」や食事改善の継続が最低3カ月は必要とされます。

セロトニンによい生活に関しては有田秀穂先生が多数著書を書かれています(挿入図はhttps://www.lotte.co.jp/kamukoto/brain/692より引用)。

また、分子栄養学的アプローチは、下村登規夫先生がMgやビタミンB群を、また、後藤日出夫先生が詳細を提唱されています。栄養療法は別途ブログでご紹介します

 

【酸化ストレス・炎症体質】

片頭痛発症の根幹には「酸化ストレス・炎症体質」というものが存在します。

活性酸素や遊離脂肪酸が過剰に産生されていると、血小板凝集が引き起こされやすく、

その結果、血小板から”生理活性物質”であるセロトニンが放出される、片頭痛発作につながっていきます。

トリプタン製剤で痛みだけを取り除いていますと、根底にある病態は増悪してくることになります。

その結果、片頭痛発作が増え、トリプタンの服用回数が増加して、最終的には「トリプタン製剤による”薬剤乱用頭痛”」に至る可能性があります。
トリプタン製剤やその他の鎮痛剤に頼りすぎず、脳内セロトニンを如何にして増やしていくかが片頭痛体質改善の鍵になっています

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

以上 田草川先生のブログから一部抜粋・引用加筆いたしました。 

 

当院では、施術を含めて、セルフケアとして、食事療法と呼吸法などは、ミトコンドリアの活性を高め、セロトニン産生をあげることをテーマに実践を提案しています。

以上、今回も最後までお読みいただきありがとうございました

 

次回は、ホメオスタシスについて お話します 

甲斐市、甲府市、南アルプス市 地域の健康づくりをサポートしています 

頭痛改善・自律神経の専門家 ウエラボ頭痛整体院 木村友浩でした。