プロバイオティクスの摂取は片頭痛の症状の改善に役立つ可能性がある
今日は、前回の慢性頭痛の基礎5では、食事によって片頭痛が減る可能性、そのメカニズムについてご紹介しましたが「それっって本当??そんなんで治ったら医者いらないじゃん」という方に、もう少し解説を加えていきますね
こんにちは!痛みを呼吸で改善する専門家 山梨県甲斐市の頭痛整体院 ウエラボ院長 木村友浩です。頭痛の症状改善と予防に取り組むうえで、役立つ考え方、ヒントをお届けしています。
頭痛をはじめ多くの疾患が遺伝的要素はあるが、その発症に至る過程で生活習慣が大きく影響しています。日常の様々な習慣が実はストレスとなり自身のホメオスタ―シスを狂わせていいます。
ストレスには、以下の4つに大別できます。 1.物理的なも(温度、気圧、湿度、酸素濃度)、2化学的なもの(化学物質、薬、食品)、3生物学的ストレス(ウイルス、細菌感染、腸内細菌)、4精神的ストレス(人間関係、思考パターン)などで、 中でも食事は毎日摂るものなので、直接的または腸内細菌を通して、私たちに影響を与え続けています。
本日の内容は以下を参照・引用しています。 頭痛あれこれ:https://ameblo.jp/yoyamono/entry-12187078732.html?frm=theme 健腸ナビ:https://kenchonavi.com/column/24
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片頭痛罹患者の腸内細菌叢に関する研究をご紹介します。
・ウクライナにおける片頭痛罹患者112名に対して行われた研究では、腸内細菌ブラウティア・コッコイデス(Blautia coccoides)が少ないほど痛みが強いことが示された。
・中国の研究においては、片頭痛罹患者は健康者の腸内細菌叢を比べた結果、炎症に関連する7菌種(クロストリジウム[Clostridium]属の菌種)が多く、酪酸を産生する2つの菌種([Faecalibacterium prausnitzii]と[Methanobrevibacter smithii])が少なかった。
・イタリアの研究では、片頭痛患者にH.pylori除菌をした結果、が全症例の23%の患者の頭痛症状を消失させ、残る28%の患者の急性発作の持続時間や頻度、重症度を有意に減少させていた。
・頭痛の回数が月平均7回程度の片頭痛罹患者27名に、混合プロバイオティクスサプリメント(ビフィドバクテリウム[Bifidobacterium]属、ラクトバシラ[Lactobacillus]属、ラクトコッカス[Lactococcus]属の菌種の混合)を12週間摂取した。その結果、約67%で摂取前と比べて頭痛の回数が減り、頭痛による生活の支障も軽減された
・マウスにBifidobacterium属(Bifidobacterium breve CCFM1025)を投与した。その結果腸粘膜培養細胞において5-HTPが多くつくられた。※5-HTPはセロトニンの材料であることから、このプロバイオティクスの摂取は脳でのセロトニンの生成に役立っていると考えられます。
以上の研究はから、プロバイオティクスの摂取は片頭痛の症状の改善に役立つ可能性があります。
一方で、食物繊維の摂取量が多いほど頭痛の頻度が低くなる傾向にあることや、脂質を制限することで頭痛の回数が減り、痛みが軽減するなどの研究結果も示されています。
脂質は生理活性物質、ホルモンの原料にもなりますので、摂取は必要です。ただ、種類とバランスが重要になりますので、この点は次回以降別にお話したいと思います。
前回のブログで紹介した酪酸が片頭痛予防に効果的であるといことに関しても、食物繊維の摂取によって腸内での酪酸の産生が促進されること、脂質の多い食事ほど酪酸産生菌が減少することから
食物繊維が多く、脂質の少ない食事を意識することで、腸内から頭痛予防に効果が出る可能性があります。食生活が頭痛に与える影響は、各個人で大きく異なります。
短期的に効果がある/なしで判断するよりも、悪影響が出る可能性のあるものは、控える、排除するものと積極的に摂取すべきものを見極め、体質改善という長期戦略に役立てたいですね。
まずは、現状調査(頭痛日記との食生活の記録をつける)から始め、興味があれば、腸内細菌を検査されるのもよいモチベーション継続・強化に役立つと思います。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。次回は脂質から作られる『生理活性物質と頭痛』に関するお話です。
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